不意に、おちる。

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「はは、そうかい」   なので、そんな心にもないお世辞は有り難く受け取ってそのままゴミ箱へポイ、だ。   「…本気ですよ?」   適当にあしらう俺を咎めるように、思いの外真剣な目をした古泉に見つめられた。   …いつもなら曖昧に笑うだけのくせに、今日に限って何そんな食いついてきてんだよ。   「――眼下にでも行け」   わずかに沈黙してしまった割には、そんな陳腐でありきたりな言葉しか出てこなかった。   …思わず唾液を飲み込んだ音は聞こえてないだろうか。   かすかに震えた声には気付いてないと良い。   お願いだから動揺したって気付かないでくれ。   不意に見せつけられた笑顔(いつもの表情)じゃない真顔。   あぁ、古泉如きにぐらついただなんて笑わせる。   …ぐらついた?   自分の思考回路にはっとなる。   古泉に、同じ男に?   あんな台詞真に受けて?   ……え?   「~~っ?」   嘘だろ?!   嫌な汗がドッと噴き出す。   急激に酷い羞恥に見舞われ   「…お前なんて知るか!」   そう吐き捨て足早にその場を去ろうと試みる。   これ以上古泉と同じ空間にいる気まずさ、居心地悪さに耐えられなかった。
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