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第二章~蒼騎士との邂逅~
青年の機体は既に死に体。機体はビルに深々と突き刺さっており、そのビルはまるで青年に捧げる墓標のようであった。
「ちっくしょぉ……」
その機体のコックピットで、青年は俯いたまま悔しさから握りこぶしを作っていた。
悔しい、どうしようもなく悔しい。
折角ココまで来て、ようやココまで来て、夢を、未来を、自身の可能性を奪われるなんて――!!
「これが、現実ってヤツなのかよ……」
あの日、MTに家族を奪われて以来、毎日を生きるのに必死だった。
あのスラム街で生きていく為に手を汚した事だってある。
上層の奴らから見下され、屑扱いを受けても、あの光景を胸に秘めて生き続けていた。
あの日、自分を救ってくれた、あのACの姿を……。
所詮、自分には過ぎた夢であったのだろうか?
所詮、こんな自分にはレイヴンになる資格が無かったのだろうか?
「そんな事無い……」
誰かが言った。 キサマには無理だと。
誰かが言った。 人間は分相応なのだと。
お前は所詮、奪われる側の人間だ。
そんな人間が、どうしてレイヴンなどという大それた物になれるのだ……と。
だが。
「そんな事、一体誰が決めたんだ!!」
コックピットに響く叫び、そしてコンソールを叩きつける激しい打音。
「ふざけるな、ふざけんな、ざけんじゃねぇ!!」
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