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「増援……ねぇ」
つまり、あの新人は合格と言う事らしい。
まぁ、確かに筋は良いし戦果も十分に及第点と言えよう。
「分かった、依頼を受理するわ。 エル、先方にはよろしくね」
このまま放っておけば、あの新人は間違い無く死ぬ。
なら、ここは躊躇せずに依頼を受理しよう。
そんな決断を下した彼女が、フットペダルを踏み込む……とほぼ同時に、以外にもオペレーターから制止の声がかかった。
その制止の声に、彼女は疑問詞を浮かべつつも、踏み込んだペダルから足を離す。
「……エル?」
『えっと、試験官から指定内容があるの。 今から5分後に突入しろ……だって』
「…………」
どうやら、試験はまだ終わっていないらしい。
その5分は、新人の最終試験……即ち、生き残る為の力を試されているのだ。
それは、あらゆるレイヴンには必ず必要になる技能と言っていい。
それが無い者は上を目指す前に地上へと叩き付けられてしまう。
羽ばたける者と羽ばたけ無い者。
それが、レイヴンとしての生命を左右すると言って良いだろう。
『……フィリス?』
「ん……エル、しっかり5分間カウントしてね」
少々不安げなオペレーターの声に、女レイヴンは明るい声で返す。
だが、その内心はあまり穏やかではない。
既に、あのACのステータスは危険領域に突入している。
だから、彼女は祈る。
早く、5分を経過する事を……。
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