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母はずっとハイテンションだった。
鼻歌も歌っていた。
夕飯の匂いがキッチンから漂う。
父:『ただいまあ,今帰ったよ。』
母:『お帰りなさい。 あのね,惺がデパートの福引きで海外旅行当ててきたのよ!!』
父:『惺,スゴいじゃないか!! どれ晩御飯食べながら話を聴くとしよう。』
父が着替え終わり,三人でリビングのテーブルを囲んだ。
そしてオレは今日あったことを話した。
父:『へえ~,んで誰と誰が行くんだ?』
母:『そこが問題なのよ~,あたしは1ヶ月も休み取れないからアナタ,たまには行ってきたらどう?』
父:『いや,オレは無理だ。 TK7号事件の再審が決まったんだ。
それで資料を集め回ってるんだ。』
母:『TK7号事件!? 再審が決まったの!?』
父:『ああ,母さんの判決が唯一上告されたあの事件だ。
私情を挟んでるわけでは無いんだがヤッパリあれは母さんの判決が正しいよ。
最高裁の奴らはどうかしてる。 今度こそアイツの尻尾を掴んでやる。』
母:『そう,がんばってね。 応援してるから。
じゃあ,惺と誰を行かせようかしら?』
惺:『別に誰でもいいよ。 楽しけりゃそれで。』
母:『そうねえ,じゃあ,隣の彩ちゃんと行きなさいよ。
2人とも夏休みだし,彩ちゃんとだったら安心だしね。』
惺:『ちょっ,ちょっと待てよ,何で彩なんだよ!?
それなら一人で行くよ!!』
母:『あら,誰でもいいって言ったじゃない。
それにあんた,体育と物理はいつも一位だけど英語は欠点ギリギリじゃないの。
それに比べて彩ちゃんは物理こそ出来ないけど英語はいつも一位だもん。
それに駅横留学KABAにも行ってるしぴったりじゃないの。』
(決して2007年に問題となった英会話スクールと一緒にしないように)
惺:『あ,彩が困るんじゃないのか?
勝手に決めたらアイツが可哀想だよ!!』
母:『じゃあ,電話してみるわ。』
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