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ピポパポピピ…,トゥルル…,トゥルルルル…
電話の音がやけに大きく聞こえた。
ガチャッ
彩:『もしもし,里中です。』
母:『もしもし,彩ちゃ~ん,里中です。元気してたあ?』
母は電話をするときいつも半音ほど声が上がる。
三分ほど話して電話を切った。
母:『惺,彩ちゃん快くOKしたわよ。 1ヶ月楽しんでらっしゃいね。』
惺:『マジかよ!? アイツ何でOKするんだよ!?
もう,ヤケクソだ。 誰とでも行ってやるよ。』
母:『確か3日後の夕方に出発よね。 パスポートはあるし,水着もあるし,後はカメラとお小遣いとお土産だいね。』
翌日の朝,インターホンの音がした。
惺:『はい,どちら様ですか?』
彩:『惺? あたしよ,インターホンにカメラ付いてるからわかるでしょ!!(笑)
学校一緒に行こうよ,そろそろ行かないと遅刻するよ。』
惺:『いつも一人で行ってたじゃん。
まあいいよ,オレの走りについてこれるか?』
彩:『少し加減してよね。 明後日の旅行のこと色々話したかったから誘ったんだよ。
取り敢えず暑いんだから早く用意してよ~。』
惺:『はいはい,すぐ行くよ。』
食パンをコーヒーで流し込み,カバンの取っ手を持って,玄関へ向かった。
彩:『おはよう,早く行こうよ。』
惺:『おはよう,うん,行くか。』
彩はなぜか朝っぱらから楽しそうな顔をしていた。
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