♠TK7号事件

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ピポパポピピ…,トゥルル…,トゥルルルル… 電話の音がやけに大きく聞こえた。 ガチャッ 彩:『もしもし,里中です。』 母:『もしもし,彩ちゃ~ん,里中です。元気してたあ?』 母は電話をするときいつも半音ほど声が上がる。 三分ほど話して電話を切った。 母:『惺,彩ちゃん快くOKしたわよ。 1ヶ月楽しんでらっしゃいね。』 惺:『マジかよ!? アイツ何でOKするんだよ!? もう,ヤケクソだ。 誰とでも行ってやるよ。』 母:『確か3日後の夕方に出発よね。 パスポートはあるし,水着もあるし,後はカメラとお小遣いとお土産だいね。』 翌日の朝,インターホンの音がした。 惺:『はい,どちら様ですか?』 彩:『惺? あたしよ,インターホンにカメラ付いてるからわかるでしょ!!(笑) 学校一緒に行こうよ,そろそろ行かないと遅刻するよ。』 惺:『いつも一人で行ってたじゃん。 まあいいよ,オレの走りについてこれるか?』 彩:『少し加減してよね。 明後日の旅行のこと色々話したかったから誘ったんだよ。 取り敢えず暑いんだから早く用意してよ~。』 惺:『はいはい,すぐ行くよ。』 食パンをコーヒーで流し込み,カバンの取っ手を持って,玄関へ向かった。 彩:『おはよう,早く行こうよ。』 惺:『おはよう,うん,行くか。』 彩はなぜか朝っぱらから楽しそうな顔をしていた。
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