第一章

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前作の不可思議な体験から約五年後、ようやく自分に合う職を見つけ、これからの人生の先を見据えていた頃、アパートで母、妹、自分の三人暮らしをしていた彼に、母からある提案が出された。 「うち母子家庭だし、国が建てた県営住宅に住める権利もあるから、どうせだったらそこに引っ越そうと思ってるんだけど、どう思う?」 そう、亭主のいない母子家庭には、救済処置として、応募すれば家賃の格安な団地に住む権利が与えられるのです。 もっとも理想の暮らしにはほど遠い・・・、こういう事は言ってはいけないのだが、そこに住む人達は何らかの事情、わけありとでも言うのだろうか・・・そういったものを抱えていて、地区内の団結力などないに等しいスラム街のような場所と聞く、しかも自分の家の近くには米軍の基地もあるので、外人がわりと多く住んでいる、ここまで行くと偏見だが、個人的にはそこに行く気にはなれなかった。 「う~~ん・・・ちょっと考えさせてくれる?仕事の事情とかもあるし、」 そう言って自分は一人暮らしの準備を進めた、万が一の事を考え、そういう逃げ道を作っておくのも悪くない・・・、さて、何処に住むかな~~、 M君はとりあえず適当に近場の住宅情報を漁った。
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