第二夜

2/4
前へ
/16ページ
次へ
時刻はまだ明るいうち。携帯が鳴る。   例の友人からだった。 やはり昨夜は寝てしまったらしい。   “大事な友人だよ。”   そんな心の込もっているのか込もっていないのかわからない文面。 さて、どうしたものか。 ここで何か突っ込んだらまた考えさせてしまう。 そう考えた末にこう返した。   “ありがとう”   もしあの文面に心が込もっているならば嬉しいのは確かだ。 しかし、込もっていなかったら? そう考えると馬鹿馬鹿しくなった。 うわべだけの気持ちをわざわざつくってもらう理由がない。 ただ虚しくなるだけではないか。 こんなもんだったのか。 なんだか笑えてきた。 そうだよな。元から友人としての友情を求めていたのは私だけだったんだ。 奴は私に恋愛を求めていたのだから。   そう考えたら今まではなんだったんだろうって思い始めた。   「いいや…今日は忘れよう。」   そう呟くと使い慣れたシャープペンシルを手にとり、勉強をし始めた。  
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加