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12月31日、サンタクロースにプレゼントをもらった。
夢の中で大きな箱を持った老人が微笑んでいる。
それがサンタクロースだと漠然とわかった僕は、なんでクリスマス過ぎに来たのかと尋ねた。
「ワシはね、小さい頃からずっとサンタクロースを信じてくれていた君には毎年プレゼントを届けてたんだよ。」
「毎年、ですか…。」
「そうだよ、毎年クリスマスには少しだけ幸せな事があったろう。」
思い返せば毎年クリスマスには女の子とデートしていたし、大学の合格通知が届いたのもクリスマスだった。
僕にとってクリスマスは“今年を除けば”ずっと幸せだった。
「歳なのかねぇ、今年はすっかり君の元に来るのを忘れていてね。今来たってわけさ。はい、プレゼント。」
そう言って両手で抱えていた大きな箱を僕にくれる。
「中身はなんですか?」
そう聞くとサンタクロースはにっこりと笑い、
「パンドラの箱」
とだけ言って姿を消した。
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