2008年を生きるすべての人に贈る

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家まであと五分、スーパーと家とのちょうど中間あたりの交差点で信号待ちをしているとき、携帯電話がなった。携帯のディスプレイには、まだメモリを消していなかった彼女の名前が浮かぶ。箱を開ければどうにでもなる。電話に出なくてもよかったが、彼女に悪い気がして電話にでる。 「もしもし。」 「もしもし私、突然ごめんね。いま大丈夫?」 「うん、何?」 「この前は突然あんなこと言ってごめんね。謝りたくってさ。」 「いや、別にいいよ。誰が悪いってわけじゃないし。」 「そっか、でもさ、あの時泣きそうな顔してたからさ。」 あの時、僕が彼女を見ていたように、彼女も僕を見てくれていたようだ。そんなに泣きそうな顔をしていただろうか。確かに心の中は泣いているとき以上に荒れていたけれども。 「泣いてないさ、泣きそうだったかもしれないけどね。」 「やっぱりそうだよね、ごめん。君に悪いことしちゃった。」 「いいよいいよ、しょうがないんでしょ。」 向かい側の信号が黄色から赤に変わる。その時横断歩道の向こう側に見慣れた姿を見つける。目の前の信号が青に変わりまわりの人は歩き出すも、僕はその場所から動けない。
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