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次に信号が青に変わったときには彼女の姿は見えなくなっていた。横断歩道を渡り、彼女がさっきいた場所について僕はこっそりと、周りの誰にも聞こえないよう小さな声で、
「ありがとう。」
と言った。
今年箱を開けるのはやめよう。来年、年が明けてから空けよう。そうすれば僕も、彼女も幸せな2008年になるんじゃないだろうか。
家についてからは普段どおりの大晦日を過ごした。いつも通り紅白を見て、年越しそばを食べる。年越しの瞬間はコタツの中で、家族と一緒に迎えた。
一時を過ぎて、僕は自分の部屋に戻る。箱を開けるためだ。
ベッドに座り、枕元に置いたままの箱を手に取る。膝の上に箱を置き、真っ赤なリボンをほどく。白いふたを取ると中には一枚の紙が入っていた。それは、おみくじだった。
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