迫る影

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僕の名前は、コジロウ。 僕が優ちゃんのお家に来てから、4回目の冬がやってきた。 僕は、冬が嫌いだ。 寒いからって優ちゃんがお散歩に一緒に行ってくれない。だけど良い事もあるんだよ。 僕の体を温かいって抱き締めてくれるんだ。 だって優ちゃんに抱き締められると胸が温かくなる。 その温もりが優ちゃんに伝わってるのかもしれない。 春になったらいっぱいお散歩に行こう。 優ちゃん大好きだよ。 僕のお気に入りのお散歩コースにある桜が綺麗な花を咲かせている。 お散歩してても暖かいし、もう少しで優ちゃんといっぱいお散歩行けるかな行けたら良いなぁ。 でも最近昔みたいに優ちゃんやお父さんお母さんとお散歩に行って空に浮かぶ雲を追い掛けたり七色の橋を探しに行ったりできない。 すぐに胸が苦しくなっちゃうし一生懸命走ってるのに前に進めない。 僕の足、お願いだから動いてよ。 今日もお家から外を眺めていた。 蝶や鳥さんが羨ましいなぁ。 僕も自由に走り回りたい。優ちゃんと遊びたい、お散歩に行きたい。 今日は、久しぶりに優ちゃんとお散歩。 いっぱい遊ぼうね。 草むらを駆け回り優ちゃんと追いかけっこ。 幸せだなぁ。 生まれてきて本当に良かった。 「コジロウ帰るよ。」 優ちゃんが呼んでる。 今行くから待ってて。 あれ・・・ どうしたんだろ・・・ 走りたいのに優ちゃんの傍に行きたいのに足が動かない。 胸も苦しい。 眠くなんてないのに目を開けてられない。
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