ずっと傍に

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駐車場に車を停めてお父さん達は、荷物を出していた。 「コジロウ海で遊ぼう」 優ちゃんが呼んでるし行かなくちゃ。 「優、あまり遠くに行っちゃダメだよ。」 「分かってる。コジロウと遊んでくる。」 優ちゃんは、お父さんにそう答えると海岸に向かって走り始めた。 僕は、全速力で優ちゃんの後を追って走って行った。 初めて見る海は、とても綺麗で砂浜は、遠くまで続いている。 こんな広い場所で優ちゃんと遊べるなんて幸せだなぁ。 僕は、夢中で遊んだ。 追い駆けっこしたり一緒に泳いだり。 どれくらいの時間遊んだのだろうか。 一生分遊んだような満足感と幸せを感じていた時、一瞬、優ちゃんを見失ってしまった。 優ちゃん何処に居るの? 僕は、声がかれるぐらい大きな声で叫んだ。 何処に居るの?僕は、ここに居るよ。 その時、波の音にかき消されそうなぐらい小さな声が聞こえてきた。 優ちゃんなの? 周りを見渡しても何処にも姿は、見えない。 何処?何処に居るの?僕には、分からないよ。 「コ・ロ・・・」 また微かにだけど聞こえてきた。 声の聞こえてきた方に目は、向けたその時、波間に優ちゃんの姿を見つけた。 どうしてそんな所に居るの?危ないから帰ってきてよ。 どんなに叫んでも優ちゃんの姿は、近づいてこない。それどころか遠くなってる気がする。 優ちゃんが危ない。 その瞬間、僕は、海に飛び込んでいた。 助けたいと思ってと言うより一緒に居たいって気持ちが僕を動かしたのだろう。 声を振り絞りチカラの限り泳いで。 視界に優ちゃんが必死でもがく姿が。 「助けて・・・お・・さん・・・かあさん」 今ならハッキリと優ちゃんの声が聞こえる。 「コ・・ロウ・」 僕が助けなきゃ。 もう少しで優ちゃんの傍に。 最後のチカラを振り絞りやっと辿り着いた。 もう二度と傍から離れない。 次の瞬間僕は、全身からチカラが抜けていくのを感じた。
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