3月 ―合格発表―

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彼は校舎の中を一人歩いていた。 ―2週間後からは、嫌でも毎日見なアカンねんから、そろそろ帰るか… ……ん? 外を見ると掲示板の前に人影を見付けた。彼は外に出て近付いてみることにした。 ―なんや?コイツ女のクセに寝グセ付いてるやんけ…たまにおんねんな、こんな奴。 「あの…」 突然、彼女が話しかけてきた。 「…!?」 彼は彼女と目を合わせた。 「キミ、合格した人?アタシも合格したんやけど、持ってるソレ、どこで貰えるの?」 「あぁ、この建物の2階に職員室があるから、そこ行ったら貰えるで」 目の前の建物を指差しながら、彼が彼女に言った。 「ありがとう!」 彼に背を向け数歩進んだ所で、彼女が振り返った。 「アタシ、高木美里」 「南靖史」 「よろしくね!南君」 そう言うと笑顔を見せて、美里は建物の中に入って行った。
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