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カズミの葬儀の時、たくさんの人がシゲユキに声をかけた。
「気ぃ落としたらアカンで、しっかりしぃや」
「何かあったらいつでもおいでや」
でもそのほとんどがそれっきりだった。
たった一人全く違った言葉をくれた人がいる。
それはカズミの会社の社長の次男であった。
名前は繁雄。
シゲユキの名付け親の息子なので同じ字が使われていた。
彼はこう言った。
「残念やったなあ。でも、そんなに悪い事ばっかりは続かへんよ」
その言葉が一番シゲユキの心に残った。
シゲユキはそれ以降、悩んでいる人、苦しんでいる人に、その言葉をかけるようになった。
ちなみに社長の長男は近年、超有名電機会社の社長に就任している。
シゲユキはトイレで新聞を読んでいて、そのニュースを知り、驚いてトイレを飛び出し、母に知らせた。
小さい頃よく遊んで貰ったので、シゲユキの最近の一番の自慢である。
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