第一話 未知との遭遇…なのか?

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寒風吹き荒れる12月。 流石に、犬ですら小屋で丸くなるような、そんな寒さの中、人通りの少ない畦道を、今や珍しいリアカーを押す、男が居た訳で。 『ゆうれいde荘って、確かこの辺に…』 この男…寒椿 一之助(かんつばき いちのすけ)は、辺りを見渡しながら呟いた。 『ウゥッ!さぶっ!!これも全て、あの鬼ババアのせいで…』 鬼ババア=元の大家の事で、良い歳(推定80オーバー)にして、現役のジャ○ーズ系の追っ掛けなのだ。 その行動範囲はもの凄く、日本各地は元より、海外でイベントがある時は、そこまで動き回る。 だから、数カ月、大家不在とかザラな訳で、大家は、自分の口座に自動振込みされてる家賃から、ジャ○ーズ経費を捻出しているのだ。(悪い奴だ) 『親が勝手に仕送り止めるし、今頃になって、催促だもんなぁ…』 ジャ○ーズ系のイベントの合間をぬって、未回収の焦げ付き家賃を鬼ババアが回収しに来た時には、親の仕送りも無し。 数時間前に、家賃が回収不可能になって怒った鬼ババアは、被害が拡がらない内に棄てた。 住人(一之助)の家財道具一式全てを。 酷いと言うなかれ、これが鬼ババアのやり方。 …多少、ジャ○ーズのスケジュールが絡んだだけなのである。 ご愁傷様。(殺すな)
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