第二章

3/11
前へ
/59ページ
次へ
    教官は隊列の横や後ろを走り、全員の様子を見ながらペース作りをしていた。 (ヤバい疲れてきた) 約2キロ地点。サムはもうバテ始めている。 教官はサムの様子を見て先頭に戻り、わざとゆっくり走って隊列の走る速度を落とした。 (ん?なんか楽になったぞ) サムは自分のためにペースを落としてくれていることに気づいていない。 サムに合わせ続けてどんどんペースが落ちていき、かなりの時間かかったが折り返し地点であるセントクロノスの入り口についた。 セントクロノスは旧シェバド帝国時代の様式を引き継ぎ、中心市街地が城壁で囲まれた造りになっている。 遠くの方にはアースガルズ城の天守閣が見える。 昨日の朝までは日常的にみていた光景だが、このマラソンを最後にしばらく見ることのできない光景だと思うと名残惜しいものである。 サムに合わせてスローペースできたせいで昼食の時間までかかってしまったが、全員完走して無事に練兵所まで帰ってきた。 最後に運動場を走って朝の訓練は終わった。 小学生の頃から体育の授業をサボり続けてきたサムには体力が全然なく持久走だけでも辛いものだった。
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加