ある少年の日常。

5/24
前へ
/101ページ
次へ
「で、誰を視ればいいんですか?」 「ほら、そこのフレンチクルーラーとチョコラスク買ってる男子」 昼休み。 ホールへ昼食のパンを買いに来た真萌ちゃんを呼び寄せ、堀切川をみてもらう事にした。 堀切川龍。 「ホリキリガワ」ではなく、「ホッキリガワ」。 仁川に調査を依頼したら、依頼するまでもなく仁川と同じクラスだった。 曰く、「平々凡々なやつだよ。最近クラスの女子と付き合い始めたみたいだけど」との事。 付き合い始めた女子というのは、やはり昨日の依頼人、越前綾香だ。 「……どこですか?」 「そこにいるじゃん。ちょっと髪長めの薄い感じの」 「……?」 「えっと……藤原基央と浮雲を足して二で割ったような」 「ああ、あの人ですか」 「そう、その人」 通じた。 「……………」 真萌ちゃんが黙る。 表情が少しだけ強張った。 「どう?」 「……すごいですね」 「すごい?」 「変」とかじゃなくて、「すごい」? なんだそれ? 「あの、そろそろいいですか? このままだとお昼喰いっぱぐれです」 「ああ、ごめん。じゃあ、放課後に」 「失礼します」 真萌ちゃんはパンを買い求める群衆の中へ飛び込んでいった。  
/101ページ

最初のコメントを投稿しよう!

109人が本棚に入れています
本棚に追加