菜羽実

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『アサギぃ!見て見て!! ちょぉかわいい!』 「あはっ、かわいいかわいい。 撮ったげるさぁ。」 なんてことない日常の光景を 写真に収めるアサギ。 それと同時に、彼のカメラが向けられるその先には いつもナウミがいた。 彼の写す写真は、主に風景がほとんどであり、そしてそこには 必ず1人の少女が存在していた。 それはまるで、周りのすべてのものが、少女の創り出した世界であるかのように思わせるほど 少女の存在は絶対的なものだった。 レンズ越しに少女を見つめる彼の眼は優しく、その想いのすべてが写真となって表わされる。 『かわいく撮ってくれた?』 「フフン、もちろん。 出来上がり期待してな!」 『やった!』 無邪気に喜ぶナウミ。 だが、その笑顔が突然、真剣な顔つきに変わった。
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