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【雪の夢】
それはあの冬の晩。
そこは一面の銀世界で、降り積もった新雪の白い高原には、僕らの足跡だけが残っていた。
凍てついた空気は、夜空から舞い降りた天使の雫に浄化され、痛いまでの冷たさで体温を奪った。
僕らはそこで、互いの存在を確かめるように抱き合った。
心に突き刺さったままの孤独と悲しみが静かに溶けていくように、僕らは互いの温もりを求めあっていた。
凍りついた空気に抱かれ二人、より鮮明に温もりを感じあった。
僕らの距離は交わり一つになった。
やわらかな唇の感触が、全てを包み込んだ僕の頬の前から伝わっていた。
時おりもれる息づかいさえ愛おしく、やわらかな温もりを包んで頬を撫でていた。
白雪に覆われた世界で僕達だけが、一つのシルエットとなり存在していた。
その夜、僕らの世界は確かに止まっていた。
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