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「鏡きらいなんだよね」 姉はそういった。 うちの姉はいわゆる《霊感》があるそうだ。 子供のころからよく変な事を言ってたらしい。 そんな姉の話。 「鏡って色んな噂みたいなのあるでしょ?うそじゃないよあれ」 合わせ鏡をすると霊の通り道になるとか地獄とつながるとか、深夜にみると死顔がわかるとか噂はたえない。 鏡はこのよのものでないものも映すとか。 ある日帰りが遅くなった姉は洗面所の鏡のまえでメイクをおとしていた。 顔を洗おうとかがんだときである。 髪の毛をなにかがスッスッとあたるかんじがしたらしい。 なんとなくピンときたらしい。 「ああいうのはかまうとしつこいから」 慣れたものなので無視しつづけているとなにかが当たるのがとまった。 やっと終わったかと思い顔をあげると虚ろな目をした長い髪の女が後ろにたっていた。 うごけなかった。 姉はそのまま目をとじると心の中で般若心行をとなえた。 しばらくすると気配がきえた。 ほっとして目をあけると目と鼻の先で女が薄ら笑いをうかべていた。 「あいつ、鏡のなかから上半身だけでてたのよ」 幸い姉は次の日リビングで目をさましたらしい。 「鏡きらいなのよ」 姉はぽつりともう一度いった。
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