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いつもの僕の行動
彼女の仕事が終わる時間はたいてい平日5時ごろ。帰り道をついていくだけじゃ物足りなくなってきたから最近はよく話し掛ける。
「めぐみさん。」
「東さん。」
彼女は微笑んで振り向いた。
僕以外の奴らにも見せた笑顔だったから、少し腹が立った。
僕だけの特別な笑顔はいつ見せてくれるんだろうか。
「昨日もおとといも…その前も会ったわね。よく会うわ、すごい偶然。」
「そうですね。僕の仕事が終わる時間にめぐみさんも帰り道にいるもんですから。」
ほんとは偶然じゃない。必然的に僕が彼女に会いに行ってるんだから。
会ってあげなきゃ彼女が可哀相だろ?寂しがりな女だ、彼女は。
「お仕事お早めに終わられるんですか?」
「えぇ。何せ僕は新米だから雑用くらいしか能がなくて、あんまり大事な仕事は押し付けてもらえないんです。」
「でも東さんはしっかりしてるし、そのうち素晴らしい成績をとれるようになるわ…。入社して2ヶ月だもの、これからよ?」
僕が僕自身の価値を下げるような発言をすると、彼女は決まって僕を誉めてくれた。
それがどうも、もどかしい気分にしか感じられなかった。
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