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島民の肉によって潤った屈強な狼といえど、戦いを心得る猫には太刀打ちできず、歯がゆさに涙しながら、尻尾を巻いて帰るしかないのである。
一方、ウォルフが頼りにしていた大猿ウラゾは、猫の脅威に打ち勝つ手段として、大規模な殺生を検討していたが、そうなると、未曽有の危険を派生させる恐れがあり、それに、生き物を殺せばやはり胸が痛む。そもそも猿の力では猫をねじ伏せることができない。
このように、ウラゾはあれこれ考えながら、弱体化の進む仲間達と共に手をこまねいていた。
――そんな折、悩める島の住人達に、爪の先ほどのわずかな希望が舞い降りた。
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