銀弥 影

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相変わらずメルフェスは脳天気だ。 俺を見つめてはへらへらとだらしない顔をして俺に手を伸ばしてくる。 そんなあいつに対し俺は、いつものようにメルフェスの好きなようにさせておいて読書をする…そんな時間は俺にとって安らぎと言っても過言じゃないくらいの穏やかな一時。 けれどそんな穏やかさに包まれていても尚…いや、むしろより考えてしまうことがある。 ……俺達を取り巻く問題についてだ。 心地良くて忘れそうになるけれど、俺は双月神の神子だ。本来ならば神殿から出ることは許されず、約束の日まで役目をまっとうしなければならない身。 もちろん人と交わったり俗世に浸かることもタブーな訳で…ましてや悪魔と契りを結ぶなど……神官共が知ったら凶器を振り回して襲い掛かりそうだ。 そう…あんなに脳天気で馬鹿な奴でもメルフェスは悪魔なのだ…悪魔と言ってもメルフェスは堕天使の部類に入るそうだけど。 悪魔に偏見を持っている訳ではないが、メルフェスが悪事を働いているところをみたことがない。まぁ…最初に出会ったのが牢屋だったから何かしら悪い事はするんだろう…… どうやら俺が知らない悪の面もきちんと持ち合わせているとみた。…俺に気を遣っているのだろうか?俺は一応メルフェスの悪の性質だって受け入れるつもりなんだけどな… 悪魔を…メルフェスを人間の観念で縛ってはいけない。 悪魔には悪魔の生き方があって……でも、メルフェスには虐殺とか強奪とかして欲しくないって思ったりもする… 今までの罪は全て俺が許そう。だから…だから二度と同じ過ちだけは犯さないで欲しい…… あ、日記のつもりが何だか盛大に横道にズレた気がする…… 今回はここで終わろう。
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