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智香はずっと屋上にいた。すると、屋上の扉がゆっくりと開いた。
竜「智香…?」
智「竜太郎…。」
入ってきたのは竜太郎だった。
智「竜太郎、あの…話があるの…。」
竜「なに?」
智「あたし…竜太郎が好き。」
竜太郎は少し黙ったあと、ゆっくりと口を開いた。
竜「ありがとう。でも、俺はその気持ちを受け入れることはできない。」
智「えっ…。」
今の状況は、まるでさっきの智香と洋祐みたいだった。
竜「だって、それは智香の本心じゃないから。」
智「そんなことない…!」
竜「違うよ。」
竜太郎はすべてをわかっているかのように話す。
竜「もっと自分を見て…?」
智「でも…。」
竜「…じゃあ、約束しよう?」
智「約束…?」
竜「うん!」
竜太郎は優しい笑みで智香を見る。智香は涙目で竜太郎の話を聞く。
竜「自分をもっと見て本心を知ること。自分に素直になること。本音を話すこと。」
智「本音…?」
竜「自分の本心なんてすぐにはわからないけど、本当に好きな人ならこの人だって思うはずだから。」
智「…うん。」
竜「俺はそうだった?」
智香は昔を思い返してみた。
智「あたし…竜太郎に会えなくなって寂しかった…。」
竜「それはきっと友達だからだよ。だって泣きたくなるぐらいにはならなかったでしょ?」
智「…うん。」
図星だった。
竜太郎がいなくても智香は普通に過ごしていた。
竜「…そういう人いたんだよ?」
智「えっ?」
竜「智香にとっていなくなったら泣きたくなるくらい好きな人…。」
智「そんな人…。」
竜「今は無理でもすぐ気付くから…。」
二人はその後何も話すことができず、竜太郎が『帰ろう』といいだした。智香は先に帰った。
竜「智香…バイバイ…。」
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