第八章

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中では洋祐がベットの上で寝ていた。頭や体を包帯で巻かれ、色々な機械を付けて寝ていた。 智「よ…すけ…」 静かにそっと洋祐の頬に触れる。だが洋祐は目を覚まさない。 智「洋祐…なんで…ねぇ、死なないよね…」 洋祐の肩を掴む。それでも目を覚まさない。智香の瞳からは自然と涙がこぼれた。 智「洋祐っ…嫌だよ…いなくなるなんてっ…嫌だ…!」 智香はハッとした。 智「洋祐、ごめん…あたし…洋祐が好き…」 智香にとっていなくなったら泣いてしまう程好きな人、それは洋祐だった。 智「今まで、わかんなくて…」 智香の瞳からはボロボロと涙が溢れる。 智「ねぇ洋祐…聞こえてる…?あたし洋祐が大好き…。 今まで一緒にいるのが当たり前だった…昔からずっと洋祐は変わってなくて、あたしたちの関係も変わらないって思ってた… でもやっと気付いた…あたし、あなたが好き。 だからお願い…ねぇ、起きて…?」 洋祐はまだ眠ったままだった。 智「あたし置いて…先に行かないでよっ…!」 智香が洋祐の胸を叩いた、その時だった。 洋「う…せぇ、よ…」 洋祐が目を覚ました。 智「よ…洋祐…?あたし、わかる…?」 洋「当たり前…だろ…?」 智「洋祐が…起きた!お医者さん呼ばなきゃ!」 智香は急いでナースコールを押し医者と看護婦を呼んだ。奈緒も知らせを聞いて帰ってきた。 医「洋祐くん…ここ、わかるかい?」 洋「病院…てか、俺…大丈夫だし…」 医「本当に回復している…」 看「すごい…!」 医者と看護婦も驚きを隠せなかった。 奈「洋祐…」 洋「母さん…わり…」 奈「ん…いいのよ…?」 奈緒は瞳を涙でいっぱいにしていた。 智「よかった…」 洋「智香…サンキュ…」 医「とりあえず安静に…頑張ればすぐ退院できますよ。」 洋祐は柔らかくほほえむ。智香も同じようにほほえむ。洋祐は無事、一命を取り留めた。
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