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うわー、うわー、魔法だよー、本物だよー。
五月は1人浮かれた。
科学と共に生き、育った1地球人としてはもう少し目の前の現象にもっと否定的になり、受け入れることを拒否するというのが多分正しい異世界人の在り方であるのが普通だと思うのだが。
彼女はまあ……その外見からしてアレだが普通の一般人からはかなりズレた所があったため、むしろ「小説love!ファンタジーlove!!え!?何?異世界?在ってもいいんじゃない!!!?むしろドンと来いだコノヤロー!!!!」なのであった。
しかし、そんな風に感激しつつうっとりとおそらく魔法使いなのであろう人物(先ほどの声からして多分若い青年だろう)が繰る光を放つ魔法陣を見つめていた五月だが、見ているうちにだんだんと彼が一体何がしたくてあの魔法を使っているのかについて素朴な疑問が頭をもたげて来た。
…あんな小物や、ゴミ何かを集めて何をするつもりなんだ……?
彼はまるで、「俺は認めないぞ!」と言わんばかりの表情で、無我夢中にいろいろ物を召喚し続けている。
分からないながらも五月は見続ける。
だって、訳が分からなくてもこれは魔法だ。
今見ないでどうすると云うのだ…!
とうとうガラクタが山を超えてそろそろ雪崩が起こるのではと云うぐらいに成長したので、避難しようかと思い彼女が移動しようともぞりと動き始めた時になってやっと彼は魔法を使うのを止め、意を決したように振り向き、五月に近づいて来た。
五月は慌てて背中に感じていた壁に手を突き警戒態勢に入っる。
いくら憧れていた魔法使いだと言っても、彼はいきなり五月を光で襲った人物なのだ、まだ、心を許すつもりはない。
長衣のフードを深く被った魔法使いは、五月の目の前で止まり、震える声で問い掛けて来る。
「まさか…本当に……お前がそうなのか…?」
「…?…一体何のことだ……?」
五月は訝しげに魔法使いを見上げた。
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