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妙な予感がする…。
悪い予感や良い予感という具体的な感じでは無い。
『妙な予感』としか言い表せないナニか。
・・
これを開けてしまったら自分の抗い難いナニかが始まってしまいそうなー…。
大体変なのだこの本は、何故自分はこの本にタイトルが無いことに気がつかなかったのだ?
何故自分は、この本を当然だと言わんばかりに何の不思議も感じずに手に取ってしまったのだ?
面白そうだという基本的なことも全く思わなかった。
なのに、何故ー…?
そこまで考え、五月は溜め息をついた。
考えてもどうしようも無いし、何より
「めんどくさ。」
「僕は何を考えていたんだ?
ただの本なのに。」
そうだ、ただの本じゃないか。
馬鹿馬鹿しい。
そう思いページを開こうとしたが、躊躇った。
まだ心の中でページを開くことを迷っている自分が居たからだ。
馬鹿馬鹿しいー…!
五月はそれを無理矢理押し込め
本を開いたー…。
瞬間、ページからあふれ出したのは光の洪水、洪水、洪水!
驚き、思わずその本から手を離し後ずさろうとしたとき、いきなり頭の中へと何かが侵入してくる感覚に五月は襲われた。
『見つけた』
それは、男の様で女の様で、響き合って、混ざり合って、湾曲して五月を更に混乱させる。
五月は、訳の分からない恐怖から耳を塞ぎ、その声から逃れる様に声を張り上げた。
「なに!!?」
しかし、声は彼女の叫びなど聞こえていないかの様に五月の声を無視して続ける。
『ああ…。やっと、見つけることが出来た…!』
「なんなのっ!!」
『さぁ、こっちへ。』
その言葉を最後に声は止んだ。
が、吹き出してくる光は一層の輝きを強め、五月の目を焼いた。
彼女はそれに耐えられず、思わず目を瞑ると、まるでそれを見計らったかの様に光は彼女に襲いかかる。
それから後は、まさに一瞬の出来事だった。
強く引っ張られたかと思うと、まるで飛んでいるかの様な浮遊間を味わった。
しかし次の瞬間にはその感覚も消え、まるで周りが重力を思い出したかの様に下に落ち始めたかの様な衝撃が五月を襲ったのだ。
「のわああぁあぁぁぁぁぁあああああああぁぁあぁあぁあぁあぁあぁあああぁぁあ!!!!!!!!!?」
五月の意識はそこで一瞬途切れてしまった。
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