一、夢見る少女

4/67
5583人が本棚に入れています
本棚に追加
/567ページ
Ⅰ、轍探偵事務所 「まぁぁあ、ジョナサンちゃん!!どこに行ってたのぉお?!」 そう絶叫するなり、かなりふくよかで派手な女性はジョナサンへとタックル(注:愛しさのあまり抱き着く…)をしていった。 年期の入ったアンティーク調の机の上に座っていたジョナサンは、タックルと同時にふくよかな女性の胸に埋没するはめになった。 「えぇっと~高須賀さん……?」 「あら、ごめんなさいアゲハさん。取り乱してしまって……」 高須賀と呼ばれた女性はきつく抱きしめていたジョナサンを離し、アンティーク調の重い椅子に腰を据えた。 流石はいい椅子なだけあって、これほどの重量がかかってもびくともしない。 「でもよかったですよ、見つかって。 ジョナサンだったら動物園に売られてもおかしくないですから。」 そう言いながら彼―――アゲハは可笑しそうに目を細めた。 「そうですねぇ。ジョナサンちゃんほど愛らしければ、その可能性もありましたわ。」 高須賀はジョナサンをベタ褒めしながらも、だからあなたに頼んだのですよと高らかに笑っている。 「そう言っていただけるだけで、感無量ですよ。」 アゲハはそう言いながら、手元にある小さなベルを鳴らした。 .
/567ページ

最初のコメントを投稿しよう!