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Ⅰ、轍探偵事務所
「まぁぁあ、ジョナサンちゃん!!どこに行ってたのぉお?!」
そう絶叫するなり、かなりふくよかで派手な女性はジョナサンへとタックル(注:愛しさのあまり抱き着く…)をしていった。
年期の入ったアンティーク調の机の上に座っていたジョナサンは、タックルと同時にふくよかな女性の胸に埋没するはめになった。
「えぇっと~高須賀さん……?」
「あら、ごめんなさいアゲハさん。取り乱してしまって……」
高須賀と呼ばれた女性はきつく抱きしめていたジョナサンを離し、アンティーク調の重い椅子に腰を据えた。
流石はいい椅子なだけあって、これほどの重量がかかってもびくともしない。
「でもよかったですよ、見つかって。
ジョナサンだったら動物園に売られてもおかしくないですから。」
そう言いながら彼―――アゲハは可笑しそうに目を細めた。
「そうですねぇ。ジョナサンちゃんほど愛らしければ、その可能性もありましたわ。」
高須賀はジョナサンをベタ褒めしながらも、だからあなたに頼んだのですよと高らかに笑っている。
「そう言っていただけるだけで、感無量ですよ。」
アゲハはそう言いながら、手元にある小さなベルを鳴らした。
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