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すると重厚な扉が音もなく開き、そこからお茶と菓子を乗せた盆を持った女性が入ってきた。
柔らかな絨毯に足音は吸い込まれ、艶やかな黒髪が流れる。
女性はアゲハたちに近付くと、そっとお茶と菓子を机にセットした。
「あらおいしそう。七福神の抹茶ロールですわね。」
「流石は高須賀さん。これは七福神の新作なんですよ。」
そう言うと、2人はうれしそうに抹茶ロールを口にする。
しかし運んできた女性は表情を崩すことなく、じっとジョナサンを見つめている。
「アゲハ……。あのペンギンには何をだせば……?」
抑揚のない声で女性が言うと、高須賀は表情を一変させ、すごい剣幕で怒鳴り始めた。
「ちょっとあなた、失礼じゃなくて!?うちのジョナサンちゃんを、そこらのペンギンと一緒にしないでください!」
辺りに唾を飛び散らせそうな勢いの高須賀に、アゲハは苦笑しながらもなだめる。
暴れられて床でも抜けたらたまったものじゃない。
「失礼、高須賀さん。後でよく言っておきますので……。
それで、ジョナサンは抹茶ロールを食べれるのでしょうかね……?」
そんなアゲハの対応に高須賀はしぶしぶといった感じで椅子に座り、ジョナサンを抱き上げた。
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