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地下水脈の水晶の雫†
「…うう…」
セルビナが目を覚ました。いつの間に気絶してしまったらしい。今自分が何処にいるのか状況が把握出来ずにまず周りを見渡した。
「此処は…何処なのですの?」
深い洞窟…側には綺麗な川が流れており、滝が近くにあるのか「ザー」っという水が滝ツボに叩きつける音がする。壁には光苔が生えているので多少は明るい。セルビナはすぐ近くに気を失っているジュリカに気がついた。
「‼…ジュリカ‼」
ジュリカは目を覚まさない。右手が変な方向に曲がっている。
「‼…骨折してますですわ‼」
穴の底はこのドラキュラ城の地下水脈が通っていた。セルビナは穴の落下途中で気を失った。ジュリカは落ちる時にセルビナが水に叩きつけられないようにかばった。そして力を振り絞ってセルビナを抱え、岸まで泳いだのである。セルビナは泣き顔になり、動揺した。
「そんな…わたくしなんかをかばったがためにジュリカは…こんな手じゃ鞭も振るえないですのよ」
気を失っているジュリカの頬に涙が落ちる。
「ジュリカはドラキュラと戦わなければならないのに…どうしよう…わたくしのせいだわ…わたくしが道に迷って、ドジを踏んだから…」
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