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王政国家リオール。 それが国の名前だ、正式な名称が在った筈だが、それはあまり使われずに、リオールで親しまれた。 リオールは、国を治める王族が住む城を中心に街を形成した城塞都市と、周りの土地に村や町が在る王政統治国家だ。 城塞と言っても戦争の為に在るのでは無く、古くからの名残を今も遺しているだけで、他国との戦争は、とある出来事から起こった事はない。 とある出来事とは、その昔のリオール統治者が、リオールを他国とのいさかいに巻き込まれない様にと、周辺諸国に、リオールは独裁国家では無く、正しい法治国家を治める中立的存在である。と、言いくるめた事にある。 簡単に言えば『家は戦争なんてしません。困った時は手伝います。お互い様です。』という外交上の約束をしたのだ。 それから50年も経てば、リオールには人が集まった。 十分に他国との交流を深く持った頃には、リオールに寄る商人達。 美しい街並みを遺した旧き建物が在るリオールに憧れた芸術家。 暮らしの中の技術に目を奪われた科学者。 リオールの契約術に夢を見た若者など、リオールの生活に馴染みそのまま腰を据える者が多く居た。 王政国家リオールは、『中立法治国家制定』を唄ってから100年が経った頃には、既に多国籍な人材と、他国との深い人脈を持った巨大な国家となっていた。
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