『名も貴きお姫様』

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男が立って居る場所は、西に在る外壁門から少しだけ南に入った所、夜中はあまり人通りが少ない場所だ。

補整され、整えられた石畳を敷き詰めた路地の周りは、立ち並ぶ工場の門と、工場の後片付けが軽く済まされたタルや材木、ある程度均等に並んだ街灯しかなかった。

街灯は１０メートル間隔で区切られており、先を見ると、緩やかにカーブして光の点が見えなくなる。

少し移動すれば、開けた広場が在るのだが、老人は路地から動こうとしない。