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「寒いね、しかし…」 男は、口から吐いた白い息を見て、顔をしかめる様に、眼鏡が少し上下した。 「遅いね、しかし…」 左手でコートのポケットから懐中時計を出して、時間を確認する。 「もう9時を回るね? 待つのは苦手なんだけどね、しかし…」 はぁ…、男はしわ渇れた声を出して、誰も耳を貸さない路地で独り言とため息を吐き出す。その時。 「お前さんが、早すぎたんよ? トマセス・エクテノン」
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