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誰かの声は、老人風の男に向かってトマセス・エクテノン、と言う名前で呼んだ。 トマセス・エクテノン、これは城下町や、リオール王城に住む者ならば、誰もが知っているある男の名前だ。 トマセス・エクテノンとは。 『生来の奇術師』、 『稀代の天才的な間を持つ道化師』、 『笑わせながら飯を食える男』、 など、様々な呼び名で親しまれる、リオール国王付きの宮廷道化師の名前だった(最後に出した呼び名の例は、下町のレストランでトマセスが店主に、美味いランチのお礼。として楽しませた事から準えた名だ)。 つまり彼は、城に、国王に仕えるお抱えピエロなのだ。正式名称は『リオール国・第四世宮廷道化師』、と言う。
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