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 高速の一閃の斬撃は茂みの無意味に高い草の先が切れるだけで、敵には当たっていないのが明白だった。 「……護衛はたった一人だ。殺せ」  その言葉を放つやいやな、茂みや木々の上からなど、黒い忍び装束に身を包み顔を白い狐の仮面で隠している者達が5~6人現れた。  ちょうど天惷を囲むように……。 「いいな? 舞姫には傷を負わせるなよ、護衛のみを……殺せ」  掛け声と共に忍び達は刀や忍びの武器くない、小太刀などで斬り掛かるというより、突き刺してくる。 「死ぬわけにはいかないんだよ!」  天惷は向かってくる忍びの一人に自ら近づき、突き刺そうと前に突き出す刀を横に避ける。 有り得ないような光景である。 スピードに乗っている敵に向かって突っ込み、攻撃を回避し、更には反撃で忍びの仮面向かって自らの刀を突き刺す。 「……!」  何も言わないまま、忍びの仮面からは溢れ出る鮮血がまるで噴水のように溢れ落ちる。 白い狐の仮面が真っ赤に染まり、天惷が持つ刀も血でべっとりと赤く染まる。  しかし、仲間が死のうと忍び達は向かってくる速さを変えずに寧ろ、一緒に突き刺すぐらいの勢いで突いてくる。 「邪魔だ!」  天惷が勢い良く刀を顔面から引き抜くと刀が突き刺さっている忍びごと、天惷は二人の胴体を斬り払った。  
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