―1―

2/6
前へ
/13ページ
次へ
夕暮れのコンビニの角を曲がり神社を抜けて、細道へ出る。 これは昔からの俺達の秘密の抜け道だった。 何もかもが懐かしい…。 あの時は現実の辛さなんて知らなかった。 毎日馬鹿みたいにギターを弾いて、音楽について語りあって、文化祭で演奏もして、ウケがよくて一時期女子にちやほやされたりもした。 ある程度努力すればテストもいい点数取れたし、煩い教師も軽くあしらって過ごしていた。 今となってはあの頃の無知だった自分が餓鬼すぎたと思え気がついたら自嘲気味た笑みを浮かべていた。 その時… 「あんまり自分を責めたりしないほうがいい…。もっと気楽に生きろよ、紳一」 突然かけられた言葉に俺の動きが止まる。 俺の前をぐんぐん進んで行く庄太郎は俺の表情なんかわかるはずないのにどうして…。 まさか何か知っているのだろうか? だから、あんなことを言ったのか? 俺が呆然と考えていたら庄太郎の呼ぶ声が聞こえ俺は慌てて後を追い掛けた。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加