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そんなことを話してる間に自分達の教室に着いた。 ドアを開け部屋を見渡すと床板や壁が少し新しくなっている程度でそのほかはあまり変わっている様子はなかった。 俺達は自分の机を探し始めた。 卒業前に自分の机だとわかるようにそれぞれ目印として傷をつけていたはずだった。 たしか俺が「日々一心不乱!」で庄太郎が「ARIGATO!By卒庄」だったと思う。 「ARIGATO!」だけじゃ、有りがちだから「卒庄」なんて駄洒落地味たのをあいつは付け足したんだ。 思い出してクスクス笑う俺を不思議そうに庄太郎は見ながら机を探した。 だけど、もう10年も前の机なんて置いてあるはずもなく結局、机は見つからなかった。 「まぁ、机はなかったけど、あそこは残ってんじゃね?」 庄太郎はそう言って黒板を指差した。 黒板の後ろには少し隙間があってなんとか入り込めるスペースがある。 俺達はひそかにそこにも机と同じ落書きを残してあった。
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