デレラ姫

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さて、手っ取り早くと言ったものの 何事にも準備が必要です 魔法使いは馬車を出すため、デレラに鼠とカボチャを用意させました 姉達に怒られまいかとビクビクしながら畑からカボチャを採るデレラの姿はなんとも滑稽でしたが なにより凄かったのは鼠捕りです 乱獲 それ以外の何物でもありません 鼠を捕っては袋に詰め込む姿は凄まじいものでした 袋の中でうごめく鼠が気持ち悪いです 「随分捕ったねぇー…なんかもう競馬が出来ちゃうみたいな…」 「鼠捕りならまかせろ」 本当に男らしいです もう一度言いますけど、貴方姫になる予定なんですよ さて、そんなこんなで材料が揃いました 一個の美味しそうなカボチャに うごめく袋、もとい大量の鼠 魔法使いがそれらに手を翳し何やら呪文を唱えると辺りが光りに包まれました 「っ!?」 あまりにもの眩しさに目を閉じたデレラがそっと目を開けると そこには美しい装飾のカボチャの形をした馬車がありました 馬の数に目をつむれば完璧な馬車です そして 「うぉっ!?なんだこの格好!?」 「お城に行くんだからねぇ」 デレラは、とてもかわいらしくそして美しいドレスを身に纏っていました とても綺麗な姿です 「すっげぇ…」 「さ、これでお城まで行っておいで」 デレラは大きく頷くと馬車に乗り込みました そこで 「…これ、誰が操縦すんだ?」 「ぁっ……大丈夫!ちゃんとお城まで着けるようになってるから!」 「今"ぁっ"つったよな!?てめぇ聞こえたぞゴルァぁ!!!!」 走っていく馬車と小さくなっていく声を、魔法使いはにこやかに見送りました .
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