Chapter:A.2【ウル・ドラン】

2/4
前へ
/173ページ
次へ
「ごめんなさい」 ここはケビンの家。いや、家というよりは小屋に近い。 イスに座って足を組むエミリアの足元で、頭をこすりつけて謝っているのはケビンだった。 「エミリア、もうこの辺にしてやれよ」 エミリアをなだめるクラーケル。 「嫌よ」 こればっかりは許さない。と言わんばかりのしかめっ面。 対してラネッシュは、悪戯(いたずら)っぽく、 「俺はてっきり『あら坊や、そんなに私の胸が触りたいの? 』とか言って、無い胸でも触らせるのかと思ったぜ」 すると、エミリアは立ち上がってラネッシュに近づく。 「だって、胸触られるの…は、初めてだったのよ!? 」 そう言ってラネッシュの顔目掛けて拳を突き出す。 しかし、ラネッシュはそれを避ける。 「それに……、無い胸って……どういうこと? 」 今度は言いながら二発。 「そのまんまの意味だが? 」 言って、ラネッシュはこれも避ける。 「もう、どうして避けるのよっ! 」 「お前が攻撃するからだろ」 ラネッシュは正論を述べる。 じゃれ合う二人を余所に、クラーケルは言った。 「とりあえず自己紹介しないか? 」
/173ページ

最初のコメントを投稿しよう!

107人が本棚に入れています
本棚に追加