Chapter:B.1【皇帝の息子】

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「浜辺に行ってみたい」 珍しくそんなおねだりをしたのは、妹のシャーリーだった。 「すぐそばにきれいな砂浜があるのでしょう? 」 「うん。そうだけど」 ちょうど昼食を終え、洗い場で二人分の後片付けをしていたエドワードは手を止めて、首を傾げた。 まっすぐな髪、まだあどけなさを残した端整な面立ち。 それでいて、瞳だけはどこか大人びていた。大人びた表情を浮かべている。 「でもシャーリー。泳ぐにはまだ早いよ。あと一ヶ月くらいしないと、水浴びも出来ないんだ」 「解ってます」 シャーリーはいつもの車椅子の上で、エドワードの手から洗い終えた小皿を受け取る。 そして、小さな手に持った布巾で、シャーリーは受けとった皿を拭き始めた。 「兄さん。私、もともと泳げません」 「……そうだったね。ゴメン」 皿を拭き終えたシャーリーは、慎重な手つきでそれをテーブルの上に置いた。 「でも、海の音と匂いは好きなんです。もし、お兄さまにお時間があれば、近くまで連れていっていただけないでしょうか? 」 「うん……」 エドワードは少し考えた。
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