Chapter:A.1【目の見えない少年】

2/6
107人が本棚に入れています
本棚に追加
/173ページ
僕は目が見えない。 原因は不明だ。 医者も特に悪いところはないと言っている。 でも見えない。 それだけは確かだ。 真っ暗な世界。 それが僕の世界。 草花のにおい、 靴から伝わってくる靴の感触。 日差しの温かさ。 それだけの世界。 どうやら僕は目の他に記憶が抜けているところがあるらしい。 特に、目の見えなくなったあたり。 7年前は見えていた。 したがって、僕の見ていた世界は7年前で止まっている。
/173ページ

最初のコメントを投稿しよう!