最悪な出発

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最悪な出発

旅行に行くからと、妹に電話した。              定期船は夜出航する。      心配性な妹は港まで、送ってくれた。            「で船はチケット買ったの?」 風が強く、いつもより早く流れる雲の間から、綺麗な半月が顔を出す。             今日は揺れるなぁと外を眺めてた私は、運転する妹を見た。相変わらずスタイルが良い。身長も高いせいか、私より大人に見える。妹曰く「鈴姉さんがボーッとしてるから」らしい・・・ 「いまから」 「はぁ!?今、なんといった?」 「急に決めたし、船だから、港で買えばいいか「バカかぁ!」 「は?」 意味わからん。 「この年末の帰省ラッシュど真中、予約もなしに当日かえるかぁ!」 ここは日本の離島と呼ばれる場所。 飛行機か船しか、外には行けない。飛行機は無理なのは経験済み。何より値段が高い。別に急ぎの旅ではないし、本州までは一晩で着く。 「大丈夫よ」 今まで、船の満席 、って聞いたこと一度しかないし。
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