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今思えば、あの時の揺れはいつも違ったなと思う。波の揺れというより、ジェット機に乗った時に感じる浮遊感。
あの時は、そんなこと感じる余裕なかったけど。
「大丈夫!怪我してない?」
しゃがみこんでる私に、彼が心配そうに声をかけてきた。いつの間に横に?
船は相変わらず揺れていて、彼は手すりに掴まり、手を差し出してくれた。
(恥ずかしいなぁ)
「ありがとう」
どうしようかと思ったが、けど、この揺れでは一人では立ち上がれない。 差し出された手に掴まり立ち上がった。
「それにしても、凄い揺れだったねぇ。アタタ・・」 不意に、彼の口許が歪んだ。慌てて彼は口元を隠す。肩が震えてますが・・・
「ごめん。あまりに見事な転びかたで・・・」
笑いをこらえようとしているが、完全に失敗してる。さっきは本当に心配していたみたいだから、ホッとしたのだろう。不思議と嫌みがない
「いいよ。自分でも気持ちよくコケたと思うし・・・あれ?」
彼の顔を見て、ふと疑問がわく。 少し肩にかかる髪、ちょっときつめの瞳。シャーブな顔立ち。20半ばぐらいだろう。180はありそうな身長は、155しかない私には羨ましい。
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