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ある作家は漫画のなかでこう語る。
「人を戦場へ送り出すのは人でなくてはならない。」
またある作家は漫画のなかでこう語る。
「人が殺される理由などない。どこかの誰かに都合が悪いと思われた人間が消されるのだ。」
人を生み出すのも人間なら、人を殺すのもまた人間だ。
それは事故死などの「結果としての死亡」とは、一線を画す行為なのである。
「よくやった。これが今回のお前の取り分だ。」
ゴミクズみたいな金の山から、小さな二山くらいをとり、俺に渡す。
No.5
それが俺に与えられた名前。
5番目に拾われた子供だからNo.5。
目の前に座る小太りの中年男が俺の育ての親であり、殺しの師匠。
「早速だが次の仕事だ。」
家族か………両親に娘一人。
「家族全員消せ、だそうだ。父親が会社の裏金を警察にリークしそうなんだとよ。全く………都合がいい話だ。今まで馬車馬みてぇに働かせてただろうにな。」
パイプをふかしながらその男はポツリとつぶやいた。
「あんたにも俺にも、他人に同情するような資格なんかない。そんな人間らしいことをするには、俺たちの手は汚れすぎてるさ。」
カネをカバンに詰め、男の部屋を出る。
「決行は3日後。場所は写真のウラに書いてある。殺し方は自由だそうだ。」
ドアを閉めれば任務了解の合図。
俺はそっとドアを閉め、家路に着いた。
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