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「へへっ、もーらった!」
「うわあああん、返してー!」
僕は城石裕大(しろいしゆうだい)、今日も植本紫音(うえもとしおん)ちゃんにいじめられている。
「裕ちゃん、これ返して欲しい?」
「僕のお菓子返してよぉ」
「しょうがないなぁ、手ぇ出して」
「うん」
紫音ちゃんはそのまま僕のお菓子を口に含んだ。
「ああっ!」
「これ美味しい」
「う、うわあああん!」
「泣かないでよ裕ちゃん、これは神様のせいだよ」
毎日こんな様子だ。紫音ちゃんにいじめられて、僕は泣く。
僕は異常な程な泣き虫だったんだ。そう、誰からも認められてもおかしくないくらい。
それは遠く長い幼稚園時代の記憶。
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