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『どうしたの?こんなに泣いちゃって』
『男の子が泣いてたら恥ずかしいだろう?』
『………あのね、痛いの』
『どこか怪我したの?』
心配そうにマオを見つめる女に対し、マオは俯いたままゆるゆると首を振る
『………あのね、みんなが痛いと僕も痛いの……』
『……そうか、人の痛みがわかるようになったんだな』
嬉しそうに男がマオの頭を撫でる
『流石だわ、偉いわよ――』
―………あれ…?―
『本当に――は良い子だな』
―………聞こえない…?―
マオが呆然とその様子を眺めていると、突然幼いマオが息苦しそうにうずくまり始めた
『やだ、どうしましょう…!!』
『落ち着け、とにかく病院に!』
『………痛い……心がいたいよぉ……!』
苦しそうに呻くマオに二人は目を見開く
『………いやっ、そんな…』
『……嘘だろう……?』
どんどんと靄が濃くなっていく
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