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浮かぶのは、夢に見た悲痛に歪む女性の顔
―………夢じゃ、ない…―
マオは、その顔を知っていた
顔だけではない
声も、浮かべる微笑みもなにもかも
不意に、扉が開かれた
「………マオ……?」
アキラが驚きに目を丸くした
後ろから、一人の女性が姿を現す
それからマオは、金縛りにあったかのように体が動かなくなった
―…なんで?どうして…?―
マオと目が合うと、女性は怯えた表情に笑顔を貼付けたような表情をした
「………ジュン…?久しぶりね、覚えてるかしら?」
そして、たどたどしくマオに話し掛けた
その言葉を聞き、思い出したかのように強烈な痛みがマオを襲った
その場にうずくまるマオに慌ててアキラが駆け寄る
女性は呆然と立ち尽くしていた
―………違う、これは……―
「マオ、大丈夫かい?」
アキラは優しく声を掛けるが、ほとんどがマオの耳には入っていなかった
―……これは………
…僕の痛みだ……―
遠くにアキラの声を聞きながら、マオは意識を手放した
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