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家の中へ入って行くマオを見届けると、アキラは静かにセイジに向き直った
その瞳に先程の優しさはなく、冷たさだけを映していた
「……お前、何しに来た」
「だからー、久しぶりに会おうかなって…」
「いい加減にしろ。さっさと用件を言え」
変わらないアキラの様子に、セイジはため息をつくとニヤリと口元を歪ませた
「いい仕事を持ってきたぜ。勿論、引き受けるんだろ?」
当然だと言うような表情のセイジに、アキラは静かに首を振った
「……もう、その手の仕事はしない。悪いが流して…―っ!」
ガッ!!
「ッざけんじゃねぇぞ!!」
セイジは強くアキラを壁に押し付けると、きつく睨みながら怒鳴った
「これは俺の仕事でもあんだよ!それに、どんな奴の仕事かぐらいお前にも分かるだろ!?信用落ちたら終わりなんだぞ!?」
「それぐらい、分かってる」
「嘘つけ!!ぜってぇ分かってねぇだろ!」
「聞いといて、決め付けるな」
はぁ、と盛大にため息をつくとうなだれた
「………あの子が居るからか?」
沈黙を肯定と取ると確認するかのように顔を上げアキラを見直した
「あの子がなんなのか知らねぇけど、俺だって仕事してんだ。忘れんなよ」
「……あぁ」
もう一度小さく息をつくとアキラから離れじっと見据えた
そして大きく息を吸い
「決めた!今日泊めろ!」
「…は?」
「んで、あの子の事教えろ」
「おいっ、待て…ッ!」
勝手にアキラの家に上がるセイジに、アキラは呆れながらも後を追った
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