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目を覚ました少年は、初めよりかは幾分か落ち着いて上半身を起こした
空は茜色に染まっていたが、部屋には時計がないため時間を確認することが出来なかった
部屋は割と広く、ベットと机しか置いていないせいか余計に広く感じた
―……此処、何処だろう…―
怪我の手当もしてあり、少し傷が痛んだが気にした風もなく少年はベットから降りた
小さな窓から外を見てみると、小さな森とその先に昨日まで少年がいた街があった
「あ、もう起きても大丈夫かい?」
ぼんやりと外を眺めているとアキラが手に小さな土鍋を持って入って来た
「お粥、作ってきたんだ。あとこれが薬で…」
アキラは土鍋と薬と水を乗せたお盆を机に置きながら少年に微笑みかける
「………アキラ…さん…」
掠れるような声で少年はアキラの名前を呼んだ
それを聞くとアキラはキョトンとした表情をするも直ぐに柔らかく微笑み
「………初めて聞いた声が俺の名前なんて、ちょっと嬉しいな…」
そう言うと少年に近寄り優しく頭を撫でた
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