情けない僕

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僕の昼休憩の定位置は、病院の中庭の隅っこのベンチだ。 勿論今日も、同じ場所に陣取った。 本当はナース用の食堂があって、同じ病棟のスタッフが固まって休憩を取っている。 だけど僕は、食事位は美味しく食べたいしなぁ……という訳で、あまり人目に付かない場所に逃げるように避難してきているのだ。 こんな事するから、ますます先輩達との溝が深まっているとは思うんだけど…… でも、今日もルミにあんなにがっつり怒られたんだし、心の休息は必要だ。 お腹がいっぱいになると、眠気が襲ってくる。 今月に入って夜勤が始まったのだが、まだ不規則な勤務形態になれてなくて、上手く睡眠が取れてない。 でも、ここで眠ったら、きっと起きられなくなる。 そうなったら、あの、ルミにまた怒られる…… 僕は、ありったけの理性と根性を動員させて、必死で眠気と戦ったんだけど、やっぱり人間って、三大欲求には忠で、睡眠欲には逆らえないのかも、なんて自分に甘いところに結論付けようとしたその時。 「北村さん? こんな所で眠ったら風邪ひくわよ」 涼しげな女性の声が、耳元でした。
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